食育ってなに?子どもへのメリットや家庭で簡単にできる方法を紹介
食育は子どもとって必要なものだと聞きますが、そもそも食育の目的やどのような知識を伝えるといいのかなど、わからないことも多いのではないでしょうか。食育とは、簡単にいうと、食べ物に対する正しい知識や感謝の心を育む教育です。本記事では、食育の定義や、食育をするメリット、忙しくても家庭でできる具体的な実践方法を含めてご紹介します。
食育とは?
食育の定義は、食を通じて子どもたちが感謝の心を学び、健全な食生活を送るための総合的な教育です。健全な食生活というとむずかしそうに聞こえますが、つまりは、子どもたちが将来自立した時、毎日を元気に過ごせるような食事を自分で取れるようにすることが目的です。
日本における食育の定義は、農林水産省と文部科学省がそれぞれの観点から提唱しています。国が食育をどのように捉えているかみていきましょう。
農林水産省による定義
農林水産省は、「食育」を「生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てること」と定義しています。農林水産省は、特に日本の農業や食文化、地元産の食材の大切さを強調しており、地域の食材を通じて食育を推進することが重要と考えています。
文部科学省による定義
一方、文部科学省は、学校や地域での食育活動を通じて、子どもたちが「食事の大切さ」や「食事のマナー」を学ぶことを推奨しています。こちらは、食育を通じて子どもたちが栄養バランスや健康的な食生活の重要性を理解し、健全な心身の発達を支えることを目的としています。学校給食や食育授業での食育実践だけでなく、家庭と学校が連携する方法が効果的であると位置づけられています。
両省の定義に共通する点は、食育が健康的な生活を送るための知識と実践力を育てる教育であることです。食育は、栄養バランスに注意するだけにとどまらず、日本の豊かな食文化や農業、さらには環境や地域社会とのつながりを理解するきっかけにもなります。
食育の普及と推進を目指す食育基本法
さらに食育について調べると食育基本法というものもあります。食育基本法は、2005年に日本で制定された法律で、国民全体に対して食育の普及と推進を目指しています。
食育基本法の内容の一部を紹介すると以下の通りです。
- 食に関する知識の普及と実践力の向上
- 地域社会や家族の連携
- 持続可能な食文化の継承
他にも食料自給率についてや、食品ロス問題などについても食育に含まれており、食育は、幅広いもののようですね。食品ロス問題はSDGsでも取り上げられている問題の一つです。みらいいでは食品ロスの現状と、問題点をわかりやすくまとめています。
”食品ロス”の現状と”いまから始めるSDGs”4つのことを紹介!
このようにみると、食育って大変そうと思われるかもしれません。しかし、食育で大切なのは、子どもたちが将来自立した時に健康的な食事を自分で摂れるようにすることです。教育と捉えると、知識を伝えなければならないと考えるかもしれませんが、食育は、知識よりも実践が大切です。そのためにも、日々の食事を楽しむことと、少しの工夫から始めてみましょう。後ほど、具体的な方法もお伝えします。
食育をするメリットと食育をしないリスク
食育のメリットと、食育をしない場合のリスクについて考えてみましょう。
食育をするメリットは、
- 健康的な食習慣の形成ができる
- 食に対する興味や好奇心を育てられる
- 社会性やコミュニケーション能力が向上する
などが挙げられます。それぞれみていきましょう。
食育に取り組むと、健康的な食習慣を身につけることができます。食事は健康の基本となるものです。小学生は、体や脳の発育に重要な時期であり、栄養バランスのとれた食事が大切です。そして、大人になってからも、生活習慣病の予防などに大きく影響します。子どもの頃に身についた習慣は大人になってからも変わらないものも多くあります。そのため、普段の食事が元となる食習慣は子どもの将来の健康のためにもなるのです。
また、食育は食に対する興味や好奇心を育てられます。子どもたちに興味づけをしてあげることで、食事を楽しむ気持ちを高められます。例えば、自分でスーパーに行って材料を調達し、料理をすると、料理の楽しさだけでなく大変さも実感できるでしょう。自分の口に入るまでに多くの人が携わっていることを知ると、食事に対する感謝の気持ちや、好き嫌いの克服にもつながるかもしれません。
社会性やコミュニケーション能力の向上にも繋がります。食事を通じて家族や友人とコミュニケーションを取り、自分以外の人との関わり方やマナーを学びます。食卓を一緒に囲むと、家族や仲間との絆が深まり、食育は社会性を育てる機会にもなります。
学校の食育はどのようなことが行われている?
食育は家庭だけでなく、学校でも行われています。多くの学校では、給食や家庭科、特別授業などの時間で、バランスの取れた食事の選び方や、食材の栄養価、食事のマナー、食料自給率などが教えられています。学校での学びをより深めるためには、子どもたちに学校で何を学んだのかなどを家庭で振り返るのがおすすめです。
例えば、学校の給食は、家庭での食育にも用いることができます。地域の農産物を使った給食メニューの日は、なぜその農産物がこの地域で特産品になっているのか、歴史や気候などを調べてみるきっかけになります。生産量など数字にまつわることを調べてみると、子どもたちにとっては当たり前の食材が、他の地域では有名なものだったと気付けるかもしれません。家庭では、子どもにとって興味のある分野からアプローチができるので、より食事についての興味をもってもらいやすくなります。
おうちでも取り入れやすい3色の食品群
下記は、子どもたちが栄養バランスの取れた食事を理解するために使うツールの一例です。
- 3色食品群:栄養素の働きから、食品を3つのグループに分けたもの
- 6つの食品群:食品を栄養成分ごとに6つのグループに分け、6つを組み合わせることによってバランスの取れた栄養が取れるようにするもの
- 食事バランスガイド:1日になにをどれくらい食べたらよいかを示したイラスト
バランスの取れた食事は、5大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、無機質)をバランスよく取ることが基本です。しかし、それだけで考えるのは難しいですよね。食品群やバランスガイドはそれらをどのように取るといいかをグループに分けて考えます。おうちで取り入れるものは、3色の食品群がおすすめです。
3色の食品群とは、栄養素の働きを3つの色に例えてグループ分けしています。3つというグループの少なさや、色からイメージできることは覚えやすく、日常的に使いやすいです。
この3つを意識するだけでも、明日はたくさん動くからしっかりお米を食べよう、最近風邪気味だから緑の食品の野菜や果物をとろうか、などと考えられるようになります。こういった考え方は子どもの頃から身につけておくと、将来大人になった時にも自然に使えるようになります。
おうちでできる食育活動とは?
食育というと「食事の教育」というイメージから、新たに時間をとって何かをするべきなのではないかと思われるかもしれません。イメージ通り、少し時間をとって食事について学びを深める方法もありますが、ここまでで紹介したように、すでに毎日行っているものが食育活動の基本になります。まずは食材を買い出しにいく、調理をする、一緒に食事を食べることの中で、食について話し合ってみましょう。
旬の食材を買ってみよう
野菜は季節に関係なく購入できるものが増えましたが、食材を調達する時には、旬の野菜を買ってみましょう。旬の野菜は、栄養価が高く、味もより美味しくなり、安く手に入ります。季節によって値段を比較してみるとその違いに驚くかもしれません。
また、旬を意識することは、健康的な食事への第一歩です。例えば、夏が旬の野菜(ナスやきゅうり、トマトなど)は体を冷やしてくれる効果があり、冬が旬の野菜(大根、白菜、ねぎなど)は体を温めてくれる効果があります。旬の野菜は、その季節に合わせて体を整えてくれるため、積極的に手にとってみましょう。
また、地域で作られている食材もみてみるとよいですね。スーパーには地域の生産者さんが作った野菜コーナーが設けられている場合もあります。スーパーだけでなく、道の駅やアンテナショップに行くと、食材だけでなく、加工品を知れるかもしれません。
一緒に調理してみよう
調理をすると、包丁をはじめとした調理機器の使い方や、焼く・煮る・揚げる・炒めるなどの調理方法の違いを学べます。まずは、少しずつ簡単なお手伝いをしてもらいましょう。
例えば、低学年のうちは、玉ねぎの皮を剥いたり、サラダのレタスをちぎったり、道具を使わずにできるものをお願いするとよいですね。休日のお昼ご飯などには、時間を少しとって、火を使わないサンドイッチ作りもおすすめです。野菜やハムをちぎるほかに、パンにバターやジャムを塗る、レンジでできるゆで卵を作る、ツナマヨを作るためにマヨネーズを和えるなど多くの行程で子どもたちと作ることができます。
高学年になると、行程の一部をお願いする際に、そのお手伝いをすると料理にどのような意味があるのかを伝えてあげると、調理の楽しさをより感じられるでしょう。例えば塩揉みは水分が抜けて、味が染み込みやすくなることや、炒めの行程では旨味成分が増えて美味しくなることなどがあります。また、自分たちでレシピを考えてみると、より楽しんで料理ができるかもしれません。苦手な食材も自分で食べる方法を考えてみたり、調理をしてみたりすると、食べられたというエピソードもあるようです。
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一緒に食事をしてみよう
一緒に食事をとることも食育の機会になります。一緒に作った食事であれば、何が大変だったかなどを話し合うことで食事への意識が高められます。買った旬の食材について「今日はお鍋だから、白菜をとることでもっと体が温まるね」などと話してみるのもよいですね。
また、どのような味が好きなのか、なぜその食材が好きなのかなどの話題で話をすると、子どもの好みや興味のあることを知る機会にもなります。話をするだけでなく、お箸の使い方、食器の並べ方、魚の食べ方といったマナーの部分も伝えてあげましょう。
他にも、
- 親子で地元の農業体験や味噌づくりなどのワークショップに参加する
- プランターで家庭菜園をしてみる
- 料理教室に行ってみる
といった活動から、食材や食事に対する感謝の気持ちや興味関心をより一層育むことができます。
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食育は毎日の食事から楽しく学ぼう
食育は、農業体験やワークシップに参加するなど新しい活動に取り組むことも一つの方法ですが、普段の食事が基本です。子どもたちが将来自立した時にバランスの取れた食事を自分で摂れるように、一緒に食事をして買い物をして、調理に取り組んでみましょう。普段の食事を見直したり、食育活動に取り組んだりすると、保護者にとっても新たな知識や技術の学びのきっかけになる場合があるため、ぜひ楽しんで参加してみてくださいね。
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